2004年度は、近年における日本の自動車メーカー・部品メーカー間の取引関係の変容を検証するため、以下の作業を行った。 第一に、(社)日本自動車部品工業会の「日本の自動車部品工業」各年版のデータを用いて、1973年から1998年に至る企業レベルでの取引関係の構造変容を分析した。この成果は、主として「サプライヤーの取引構造の歴史的推移:1973年から1998年にかけての定量分析」(『産業学会研究年報』第19号)にて発表した。 第二に、(株)アイアールシー発行の『主要自動車部品の生産流通調査』各年版のデータを用いて、1987年から2002年に至る部品レベルでの取引関係の構造変容を分析した。この成果は、主として「日産自動車リバイバルプラン以降のサプライヤーシステムの構造的変化」(『経営志林』Vol.41(3))にて発表した。 第三に、最近における自動車メーカー・サプライヤー間の共同開発プロジェクトの動向を主要テーマに、自動車メーカー数社と一次部品メーカー数社にインタビュー調査を行った。ここで得た知見は、現在進行中の研究の土台となる一方で、その一部は「企業間関係と製品開発:自動車メーカー・部品メーカー間の開発動向と複数プロジェクトの視点」(『研究技術計画』Vol.19(1・2))にて発表した。 以上の分析・調査の結果、近年の日本の自動車メーカー・部品メーカー間の取引関係においては、「部品取引関係のオープン化」と「新技術開発における取引関係の一層の緊密化」という二つの動きが同時並行的に進んでおり、その背景には合理的なロジックが存在することが明らかになった。 そこで第四に、こうした取引関係の変容が生じた背景を探るべく、1960年以降の日本の自動車産業全体の変遷について、各種のマクロ/ミクロのデータの分析を行った。この成果は、来年度半ばまでに『(法政大学)経営志林』にて公表する予定である。
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