2005年度は、最近における日本自動車産業全体の変遷と、自動車メーカー・サプライヤー間の開発協業の高度化について検証するため、以下の作業を行った。 第一に、経済産業省発行の『工業統計表』・『機械統計年報』・『主要産業の設備投資計画』、(社)日本自動車工業会発行の『自動車統計年報』、(杜)日本自動車販売連合会発行の『新車登録台数年報』、(株)アイアールシー発行の『各社グループの実態』、(株)フォーイン発行の『世界自動車メーカー年鑑』など、各種のマクロ/ミクロのデータの分析を行い、特に1990年代に焦点を当て、日本の自動車産業全体の変遷と、各自動車メーカーの戦略を追った。この成果は、『(法政大学)経営志林』にて公表した。 第二に、2003年11月に東京大学大学院の藤本隆宏教授と京都産業大学の具承桓講師と共同で行った一次部品サプライヤーに対する質問票調査の結果と、1993年から2004年までに自動車メーカーが出願した特許データをもとに、自動車メーカー・サプライヤー間の先行開発協業についても分析した。その結果、少なくともこの10年あまりの間に、日本の自動車メーカー・サプライヤー間の先行開発分野での協業は拡大しつつあり、その成果も増大しつつあることが分かった。また、こうした先行開発分野での協業の面では、特にトヨタ系サプライヤーの取組みが先行していることも明らかになった。この成果は、とりあえず『東京大学ものづくり経営研究センターディスカッションペーパー』にて公表するが(現在編集作業中)、国内査読誌にも投稿する予定である。 第三に、海外への情報発信を意識し、既存の日本語論文の英訳を行い、『(法政大学)イノベーション・マネジメント』誌上に発表した(現在編集作業中)。昨年度に発表した英語論文の内容と合わせて加筆・改編を行い、次年度を目処に海外査読誌への投稿を行う予定である。
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