研究概要 |
(1)調査実施状況 平成16年度は鯖江地域を中心に,浜松地域,札幌地域における調査を重点的に進める調査計画を立てていた.なかでも鯖江地域に中心をおいて予備調査と交渉をおこなってきたが,調査予定の直前に台風23号が鯖江地域を直撃し,平成16年度の夏期の調査予定が完全に白紙になってしまうというアクシデントに見舞われた.復旧にはかなりの時間を要したようである, そこで急遽,並行して予備調査を進めていた常滑地域の窯業産地における調査を企画し実施した.現在,窯業関係者を中心に,作家,小売,市会議員などにインタビューを実施し,データはテキスト化されている.その延長で,現在は,東海4産地である,瀬戸,万古,多治見.常滑のメンバーによって組織されている「陶の国」というグループに調査交渉をおこなっている.現在, 札幌地域においては,平成14年度から継続的に調査を続けている企業へ数回の聞き取りを実施している.現在その企業は札幌において新規事業へ進出しようとしているが,情報の取得やネットワーキングに特徴的なプロセスが見られる.零細企業が規模を拡大し成長しようとする際に観察される典型的な組織的な状況も同時に発生している.継続的な参加観察が必要と思われる. (2)理論研究実施状況 平成16年度は調査中心の計画であったが上記のように,台風23号によって調査期間が限定された.そのため一部の時間を理論レビューに振り向け,同じような問題意識をもっている研究者との研究会を複数回もち,ベースとなるネットワーク理論の理論的課題の整理と検討を実施した.基本的に,レビューを重ねても本研究のスタンスは変わらず,問題意識そのものの理論的可能性はより裏付けられたような形になったと考える. しかし,現時点に置いて想定されている構成概念の多くは仮説に過ぎず,来年度以降の調査によって実証的に裏付けられなくてはならない.
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