本年度は、戦略的顧客インターフェイスを構築する上で、トップマネジメントとミドルマネジメントとの役割について明らかにするため、事業システム変革側面における両者の役割変化について調査した。 松下電器産業と三洋電機の事例に見られるように、企業の戦略的強みは永続しない。松下電器産業は、問題に直面した際、事業システムを改革し、顧客とのインターフェイスを変更し、リストラ策にまで踏み切った。一方、三洋電機は、松下電器が危機に直面していた頃好調であったため、その利益を多角化に配分した。事業システムの抜本的な変革に着手したり、リストラ策をとる代わりに、ワークシェアリング等より痛みの少ない方法を選択した。 その結果、松下電器は再生し、強さを回復したが、三洋電機は戦略的強み以外にも組織的な大きな問題を抱えるに至った。 しかし、企業にとって、1つの事業システムやプロセスを抜本的に変更するためには、組織内外の既存の利害関係者との関係を絶ち、新たな利害関係者との間で関係を再構築していく必要がある。 そして開発担当者が顧客や供給業者との間でより密接な関係を作れるよう、供給業者選定における評価軸の変更や、組織の開発プロセスを変更する必要がある。 本年度は、事業システムの再構築プロセスに焦点をあて、文献レビュー及び事例研究を行った。 その成果は、IFSAM2006ドイツ大会にて発表している。 また、この成果を元に、若干の国際比較にも着手したが、それは今後の研究課題としていきたい。
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