本研究は、大きく三段階に分けて考えており、初年度(平成16年度)は第一段階と第二段階を終了した。まず、第一段階は、ブランド構築の視点から見たサイトの分類・整理ということで、インターネット・マーケティングとブランディングに関する文献レビューから、ブランド・コミュニケーション・ツールとしてウェブサイトが中心的なものであるとの位置づけを明確にした。その後、個別ブランドにおける独自サイトを構築・運営している企業へのインタビューを試み、ブランディングにおけるウェブサイトの役割を企業的視点から整理した。インタビューによって抽出された戦略的概念は、ウェブサイトにおける経験価値、IMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)、ブランド・サイトの戦略的構造、コミュニティの重要性であり、ブランド・サイトの構築・運営における指針となる。 第二段階は、インターネット上での消費者行動に関する文献の整理と消費者へのデプスインタビューから、ブランド・サイトにおける目的指向型行動と経験指向型行動の二分類の仮説を立てた。また、インターネット調査によって、ブランド・サイトに関するプロトコルデータを収集し、分析を試みている。これらの結果から、機能的価値要素と経験的価値要素からなるウェブサイトにおけるブランド価値モデルを構築した。 来年度に予定している第三段階では、これまでの研究成果を元に、実際にサイトを運営していく中で、消費者に対するブランド・サイトの効果を測定するための複数の実験を経時的に試みていく。これらのプロセスによって、ベンチャー企業のブランド・サイト構築の指針となる様な枠組みを構築していく。
|