平成16年度は、主に文献研究に当てられた。文献研究は大きく、歴史に当たる部分と近年の研究に当たる部分の2部から構成される。 まず、歴史にあたる部分は、本研究のテーマである、消費者による新製品の採用過程に関する研究が、消費者行動研究やマーケティング研究において、歴史的にどのような経緯をたどってきたのかということについてレビューしたものになった。その研究成果は、「消費者行動研究における新製品普及理論の変遷と今後の課題」として、日本商業学会全国大会(2004年5月29日慶應義塾大学)の統一論題において発表された。 次に、近年の研究に当たる部分については、歴史研究を踏まえた上で、消費者による新製品の採用過程に関する研究が今後どのような方向性で行われるべきかという考察を行った。具体的には、知識転移という考え方を用いることによって、今日の消費者による新製品の採用行動をうまく説明でき、そして企業が取るべきマーケティング戦略への有意義な示唆を行うことができる、というものである。その研究成果は、「新製品の採用過程における消費者の情報処理行動」として、日本消費者行動研究学会(2004年6月5日神戸大学)の統一論題において発表された。 さらに、上記の文献研究を踏まえ、今日の日本の消費社会の現状を鑑みた上で、本研究の実務的なインプリケーションを強調した研究を、和田充夫・新倉貴士編『マーケティング・リボリューション 理論と実践のフロンティア』(有斐閣)の中で、第8章「新製品の導入と消費者行動 これからの新製品マーケティングへの指針」として著した。
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