インターネットで消費者が発信する情報をもとに製品企画を行なうためのビジネスモデルを実践する企業について、これまで研究代表者が行ってきた研究から得られた知見をもとに、平成16年度は複数社の事例を対象に定性的な手法を用いてさらに詳細に分析する作業を行なった。具体的には、該当事例に関して二次的資料より得られた情報をもとに、主にメーカー5社の商品企画担当者等に対するインタビュー調査を行なった。あわせて、本研究の関連研究テーマである「ユーザー・イノベーション研究」の一連の既存文献レビューを行なった。これらの作業から、インターネットを通じて収集される消費者情報を製品企画にいかにして反映させるかという問題に関していくつかの仮説を導出する作業を行なっている。ひとまずの発見物として、以下の2点を挙げておく。 ・インターネットを通じて収集される消費者情報には、その質的な側面からいくつかのタイプが存在していると考えることができ、それを製品企画に反映させるためのプロセスについてもそれぞれ異なるマネジメントが必要であると思われる。 ・消費者同士の議論や会話をもとに発生する「顧客間インタラクション」を期待しての消費者参加型製品企画に関しては、そこから導出されるアイデアをそのまま製品企画に反映させることは難しく、企業側がいかにしてそうした消費者情報を製品企画に反映させるか、そしてそれをいかなる形で参加した消費者にフィードバックするか、という点が重要であると思われる。
|