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2005 年度 実績報告書

企業再編会計における支配概念の意義と限界

研究課題

研究課題/領域番号 16730231
研究機関横浜国立大学

研究代表者

大雄 智  横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (40334619)

キーワード企業結合会計基準 / 会社分割 / 支配の継続性 / 持分の継続性 / 投資の継続性 / 利益の実現
研究概要

平成17年度は、会社分割やジョイント・ベンチャーの設立、資産交換の事例を分析しながら、日本とアメリカの企業再編会計基準の概念的な枠組みを明らかにした。昨年度、企業結合会計基準の分析に適用した支配の継続性と持分の継続性いう2つの概念を、今年度も事業分離の会計基準および資産交換の会計基準の分析に適用した。
会社分割やジョイント・ベンチャーの設立、資産交換の会計基準では、資産を移転した会社がその含み益を実現利益とするのかどうか、および、資産を承継した会社がそれを時価で引き継ぐのか簿価で引き継ぐのかが重要な問題とされてきた。本研究では、とくに前者の問題に焦点を合わせ、利益実現の本質的な条件が、事業資産に対する支配の喪失なのか、それとも、事業成果に対する持分の清算なのかを検討した。なお、本研究では、持分の清算を、事業資産に拘束されていた株主資本が回収されること、すなわち、株主の負担する事業成果のリスクが解消されることと定義している。
分析の結果、現在のアメリカの会計基準では、事業資産に対する支配の喪失が利益実現の本質的な条件とされているのに対し、日本の会計基準では、事業資産に対する支配の継続性と事業成果に対する持分の継続性をともに考慮して投資の継続性を判断し、そのうえで投資の清算を利益実現の本質的な条件としていることがわかった。日本の基準では、支配の継続性と持分の継続性という2つの概念の上位に投資の継続性という概念が用意されているわけである。
こうした相違は、財務会計の概念フレームワークにおける持分概念の意義の相違を反映しているものと考えられる。とくに支配概念および資産概念を重視するアメリカの概念フレームワークでは持分概念の意義が失われつつあり、それが利益測定の合理性に影響を与えている可能性がある。そうした問題についての検討は今後の課題である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 企業分割と利益の実現2005

    • 著者名/発表者名
      大雄 智
    • 雑誌名

      横浜経営研究 26・1

      ページ: 77-91

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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