研究概要 |
本年度は研究の基礎固めとしてセグメントに関する研究を行った。これは,(1)文献研究,(2)インタビューによって行った。 文献研究の結果,セグメントに関して,いかにしてその利益貢献を測定するのか,という問題と,キャパシティをどう管理すればよいのかという問題が生じてくることがわかった。その検討結果として,論文2編を執筆した。(1編は公刊され,1編は投稿中。) 貢献利益の測定に関しては,多段階計算においてどのような利益概念が必要なのか,また,継続的に作成される外部報告用の損益計算書とのリンクをどのように行うかに焦点を当てた論文を公表した。キャパシティの管理については,需要と意思決定の間のタイムラグについて,経営政策との関連での整理を行った。 また,本研究は海外との比較を考えているため,フランス・ポワチエ大学を訪問し,インタビュー調査を実施した。フランスでは労働組合の影響力が強く,ストライキなどの労働争議も頻繁に起こるため,セグメント別の業績測定の方法を誤った場合(それが特に報酬制度と密接に結びついている場合)には,日本で考えられるよりも負の動機付け(逆機能)が強く発現してしまうということがわかった。 上記2点のポイントから,(1)より適切なセグメンテーションとセグメントの業績を測定するための利益概念の整理,(2)セグメントで発生するキャパシティの効果的なマネジメントという2つの課題が次年度以降の研究課題となることが明らかになった。
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