研究課題
本年度は、「会計利益の諸特性とその決定要因」および「決算発表日周辺の投資家の株式売買行動」という2つの重要な研究課題について取り組んだ。1番目の研究課題については、特に、日本企業のガバナンス構造の大きな特徴でもある「株式持合」に焦点を当てることによって、価値関連性・持続性・保守主義などの観点から計測される利益の質が、株式持合の程度の強さに応じて企業間で有意に異なることを示す証拠を得た。こうした研究成果に関しては、日本会計研究学会第66回大会(松山大学、2007年9月)において研究発表を行う予定にしている。2番目の研究課題については、まず、決算発表というニュースに対する最適な反応とは異なる理由に基づいて株式を売買している投資家が数多く存在していることを前年度の分析において明らかにしたが、この研究成果に関しては、さらに、アメリカ会計学会(AAA)2006年度年次総会(ワシントンDC、2006年8月)において研究発表を行う機会を得た。その上で、本年度は、そうした株式売買を「小口取引」と「大口取引」とに分類することによって、限定された分析能力や情報量でもって零細な資金を運用する「個人投資家」とそうでない「機関投資家」の決算発表日周辺の株式売買行動をそれぞれ識別することが可能となり、ノイズ取引という観点から証券市場における経済的帰結を詳細に調査した。こうした研究成果に関しては、日本経営財務研究学会第30回全国大会(学習院大学、2006年10月)において研究発表を行った。そして、今後は、ヨーロッパ会計学会(EAA)第30回年次総会(リスボン、2007年4月)およびアメリカ会計学会(AAA)2007年度年次総会(シカゴ、2007年8月)においても研究発表を行う機会を得ている。
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Kobe Economic & Business Review 51
ページ: 11-31
神戸大学経営学研究科Discussion Paper Series 2007-18
ページ: 1-42
Proceedings of 30th EAA Annual Congress at Lisbon, Portugal (forthcoming)
Proceedings of 2006 AAA Annual Meeting at Washington, D.C., U.S.A.
ページ: 299