小規模な組織単位をプロフィットセンターとして扱い、利益責任を課すことでモチベーションを引き出すミニ・プロフィットセンター制という管理手法が、いかに普及していくのか、あるいは中止されるのかを調査することが本研究の目的である。第1年目の今年は、その導入決定者へのインタビューを実施し、導入の意図を明らかにした。調査の結果を先に述べると、導入企業は製造業が多いが、間接部門への浸透もすすんでいる。また、導入の意図としては教育目的と財務的業績の改善を同時にめざしていることが特徴であった。 今年度にインタビューを実施したのは、現在、ミニ・プロフィットセンター制の教育機関に参加している10社であり、普及が成功している企業のデータということになる。導入企業の10社中8社がワイヤーハーネスや導体などめ製造企業であり、さらに導入される部門は、製造企業であっても、必ずしも製造部門だけではなく間接部門への導入も比較的多いことが分かった(間接部門の例としては、総務、人事、生産管理、生産技術、設計、メンテナンス、研究部門など)。 導入決定者はやはり、社長、事業部トップなど組織のトップマネジメントであった。 導入の意図:導入決定者へのインタビューから、導入決定者の意図は、ほとんどの場合が社員への教育目的が主であり、ミニ・プロフィットセンター制を業績評価のしくみと捉えている導入決定者は1人もいなかった。その理由としては、すでに正式な管理会計システムや評価システムがあり、そちらを正式なシステムと考えているためである。 ただし、導入決定者のミニ・プロフィットセンター制にたいする理解としては、単に現場のモチベーションの向上だけではなく、財務業績の向上に結びつくと信じていることが分かった。実際、ミニ・プロフィットヤンター制を導入した結果、組織全体の財務業績が改善したケースが多く報告されている。
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