当初予定していた研究目的・計画に照らしてみると、実績は予定通り概ね順調に達成されたと思われる。それは、(1)診療所にかかわる経理規程について予想を上回る数が収集できたこと、(2)診療所とは病床数の違いで対比される病院の状況についても把握が可能となったこと、(3)開示が遅れている医療現場において、数件の診療所・医療機関に(財務情報について)インタビューできたこと、(4)医療機関に対して、アンケートの依頼とその実行(回答期限は来年度)が可能となったこと、である。ただし、汎用性を探っていくには、文献・情報の過少さは否めず、またアンケートの遅延もあり、逆に本研究こそが端緒であることを痛感している。今後も努力したい。 一方、計画以上の展開もある。とりわけ、(1)本研究の成果を企業主催のセミナーを通じて報告、発表する機会に恵まれたこと、(2)本研究の成果の一部を単著(『病医院会計のすべて』)として出版できたこと、である。 研究の遂行中ではあるが、果敢に成果が外部に公表されることは次年度の研究の糧ともなり、功といえるように思われる。 また、実積を重ねる上での研究補助金は、適正かつ有効に執行できたと思われる。使途については計画通りの執行となり、有効に役立てられたことを感謝している。 最後に、汎用的な経理規程確立にかかわる研究は、実務上存在する規程を精査してまとめるというだけでは不十分であると考えられる。すなわち、研究としてはあるべき経理規程の確立を追及していくべきではないかと考えている。次年度はそうした認識を踏まえながら、本年度を礎としてさらに研究を深化させていきたいと思う。
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