本研究の主目的は、利益計画段階でどのような生産マネジメント情報が収集され、どのように利用されているかについて、明らかにすることである。この課題を明らかにするために、本年度は以下の2つの研究に取り組んだ。 第一に、これまでの生産マネジメントの業績測定に関する議論について、網羅的に文献渉猟を行い、整理した。企業で扱われている生産マネジメント情報は多種多様であるため、アドホックにこれらの情報を収集しても意味をなさない。利益計画において、この多様な生産マネジメント情報が利益創出の過程や根拠を示す役割を果たすには、(1)指標設定段階、(2)指標測定段階、(3)測定結果の評価段階、(4)測定結果の活用段階といった4つの段階を整備する必要がある。具体的に(1)指標設定段階では、企業戦略と測定指標との整合性、指標間の関連性に関する事前情報の収集、業績評価のフォーマット整備、(2)指標測定段階では、部門間の比較可能性、測定頻度、(3)測定結果の評価段階では、多元的な指標間のウエイトづけ、指標間の関連性のチェック、(4)測定結果の活用段階では、収集されたデータの重要度の検討といった点である。 上述の4つのプロセスを適切に踏まなければ、いかに重要な生産マネジメント情報を収集したとしても、利益計画に反映されることは困難である。これらの成果については、日本会計研究学会で報告を行っており、論文としては、次年度5月に公刊される予定である。 第二に、上述の文献整理の結果に基づいて、加工組立に属する企業3社に対してインタビュー調査を行った。現在その内容についての分析を行っており、17年度に予定されている質問票調査を構成する変数を設定する際に利用している。
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