研究概要 |
本年度は、昨年に引き続き各地の都市再生の事例の収集を行った。地方都市では、熊本市の中心商店街、高知市の中心商店街および朝市、北九州市若松区、帯広市の北の屋台、近江八幡市の八幡堀界隈、彦根市の中心商店街、長浜市の中心商店街、長野県富士見町のまちづくり活動への巡検を行った。大都市に関しては、東京圏では、1)臨海部の再開発に注目し、芝浦地区の高層高級マンション建設地区(都心回帰も含む)、川崎駅前再開発地区を、2)都心回帰として、品川の高層ビル再開発地区、丸の内・日本橋の再開発地区、大崎駅周辺再開発地区、3)郊外開発として千葉のニュータウンの巡検を行った。京阪神圏では、京都の町屋再生や大阪のインナーリンク地帯の巡検を行った。加えて、行政の支援体制を調べる為に、財団法人大阪市都市型産業センターの扇町インキュベーションセンターのヒヤリングも行った。 これらの事例を通じて、都市再生において共通していることは、「地権者」から土地を利用する権利を得た「まちおこしの担い手」を創造出来るかにかかっていることが明らかになった(矢部,近刊)。その上で、この「まちおこしの担い手」を中心としたソーシャル・キャピタル形成パターンの差が都市ごとのまちづくりの個性を形成していると考えられる。 研究成果の一部を、公共政策学会の公共政策フォーラム2005イン北九州・若松のパネルディスカッションで発表し、地域社会学会講座3巻(近刊)で公刊される。
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