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2004 年度 実績報告書

「国際移民システム」における「永続的ソジョナー」中国人のアイデンティティ・モデル

研究課題

研究課題/領域番号 16730262
研究機関横浜市立大学

研究代表者

坪谷 美欧子  横浜市立大学, 商学部, 助教授 (80363795)

キーワード国際移民システム / 中国人 / アイデンティティ / ソジョナー(滞在者)
研究概要

本年度は、本研究で明らかにする3つの仮説のうちの一つである、中国人の日本留学の政策的側面を明らかにするため、まず中国国家図書館において資料収集を行った。そこでは、日本留学のみならず、中国からの海外留学の1980年代からの動向や政策について、かなり詳細な文献や資料を入手することができた。分析の結果、中国人の日本留学は、80年代からの日中間(さらにはアメリカやヨーロッパといった中国人の留学希望地を含む)の政策、経済、社会的ネットワークから形成された「移民システム」の一つとしてのモデルを構築した。さらに2000年以降の新しい日本留学への流れを分析するためにも、中国における若者の日本への関心やイメージについて、日系企業の採用担当者、日本語メディア誌関係者等へ北京市においてヒアリングを行った。これらの調査結果より、「移民システム」の確立により、これから日本留学を希望する「一人っ子政策」後の若者、さらに長期の滞在の後日本から帰国する中国人、リピーターなど、中国から日本への移動をめぐる一様なパターンにとどまらない戦略的な選択肢のひろがりが散見された。
もう一つの仮説である、「永続的ソジョナー」中国人の、家庭生活、子どもの教育、政治参加などの各場面における、新中間層的な生活様式への適応についての研究では、以下の知見が得られている。中国人どうしの夫婦の調査結果から、日本における中国人女性の不就労=「主婦化」は日本適応の結果としてではなく、かれらの強い「帰国志向」からすると、むしろ日本での「仮住まい」の意識を反映した行為といえることが明らかになった。中国への帰国の意思をつねに持ちながら日本での生活を送るうえで、「我慢」や「あきらめ」といった「家族戦略」の一つとしての「主婦化」と捉えるほうが正しいと判断できる。こうした行為は、中国から日本への移民過程にある滞日中国人の「家族戦略」の特徴の一つとして結論づけることができる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Factors Responsible for Fushugaku among Foreign National Children : An Analysis of the Attendance/"Non-Attendance"Process in Municipalities with Foreign Residents2005

    • 著者名/発表者名
      坪谷 美欧子(田房由起子との共著)
    • 雑誌名

      横浜市立大学論叢 社会科学系列 (印刷中)

  • [雑誌論文] 「10万人」後の留学生政策と大学の果たす役割-ジェンダーの視点からみる生活と就職問題-2005

    • 著者名/発表者名
      坪谷 美欧子
    • 雑誌名

      男女共同参画社会における大学の果たす役割に関する総合的研究(平成16年度横浜市立大学研究奨励交付金研究成果報告書) (印刷中)

  • [雑誌論文] 国際移動プロセスにおける滞日中国人家族-女性の就労/下就労、夫婦間役割の観点から-2004

    • 著者名/発表者名
      坪谷 美欧子
    • 雑誌名

      横浜市立大学紀要社会科学系列 7号

      ページ: 65-81

  • [雑誌論文] ニューカマー外国籍生徒に対する多文化教育の可能性と課題-神奈川県S中学校の選択教科「国際」における取り組みから-2004

    • 著者名/発表者名
      坪谷 美欧子(小林宏美, 五十嵐素子との共著)
    • 雑誌名

      <教育と社会>研究 14号

      ページ: 54-61

  • [図書] 外国人の子どもと日本の教育2005

    • 著者名/発表者名
      坪谷 美欧子(第1章、第10章を執筆)(宮島喬, 太田晴雄編)
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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