本年度は、調査対象に関連する各種資料の収集のほか、調査地における地域調査を行った。これらのことに関遅して、収集した各種文献資料およびインタビューによって得られたデータから必要事項を抽出して整理分類し、データベース化する作業を行ってきた。同時に得られた資料およびインタビュー・データの分析を行ってきた。 本年度は、以上のような資料調査、インタビュー調査によってデータの蓄積を行うことを第一に考えて、集中的に行ってきた。聞き取り調査では、調査地に赴いて、インタビュー対象者と直接面接する方法で行った。 資料収集・聞き取り調査および分析は現在進行中であるが、途中経過的な知見としては以下のようなことが得られている。本研究では、観光地化した地域社会に、観光シーズンに限定的に訪れて一定期間定住する人々に着目している。これらの人々は、地域社会に根ざした「地元」住民のように地域社会を中核的に担う人々ではないが、観光地化した地域社会において、単に季節労働者的な一時的寄留者という枠では収まりきらない存在として、地域住民と関わりをもち地域社会を構成する要素となっていると考えられる。 これらの人々は流動的で不定形なため、社会集団としての性格づけは困難であると予測されるが、観光化が地域社会の生き残り戦略として声高に叫ばれる今日、このような人々の存在に留意しながら地域社会を考察することは重要な意味をもっていると考えられる。 今後の課題としては、データをさらに蓄積して厚みを持たせながら、地域社会で先述のような人々が果たす機能や役割を詳細に検討していくことが挙げられる。
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