初年度は、植民地と内地の結婚を含む20世紀の国際結婚、内鮮結婚、内台結婚などの文献を収集した。9月には南樺太を含むサハリンでの調査を行うことができた。ユジノサハリンスクでは北海道人会、朝鮮人教会代表者、サハリン朝鮮人協会で聞き取り調査を行った。また、予定にはなかったが少数民族であるニブヒの女性への聞き取りは、植民地における日本内地の少数民族問題の重要性を確認した。 また、平成17年度の日本社会学会において国内の研究者によるテーマ・セッション、ならびに平成18年度の日本家族社会学会において海外の研究者を含めたテーマ・セッションに向けて、国内外の研究者と積極的に意見交換を行った。前者では1990年代に増加した「日本人ムスリマとの婚姻」を、後者では「国際結婚と子どもたち」を中心テーマにセッションを組むことで合意している。日本の学会開催シーズンと海外の大学の学年暦とが重なるために、学会への招聘が難しいことが判明したが、幸いにもUCLAサンディエゴ校を退官されたばかりのAnn Baker Cottrell先生からご快諾を頂いた。Third Culture Kidsの研究で著名なCottrell先生から「国際結婚の子どもたちへ」の示唆を期待したい。 初年度に予定した文献のデータ・ベース化は、着手することができなかったので、次年度から始めたい。なお、計画にはなかったが、講義課目「国際結婚論」を教科書にすることとなった。特に後半は、本研究の20世紀における国際結婚と重なる。本研究の初年度の成果を取り入れながら執筆中であることを付け加える。
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