"Governance Across Boundaries : International Conference on Public Management and Cross-State Cooperation on Fighting with Crime"という台湾でのカンファレンスに参加した。日本政府の台湾・中国関係の配慮から、日本側からの参加者は政治学を中心とする学者のみで、日本の入管管理関係者の参加は皆無であったところに、グローバル・ガバナンスの難しさを実感した。台湾や香港、オーストラリアの入国管理やドラッグの取り締まりと国際協力の実態を知ることができたが、国際結婚特に偽装結婚については、明らかにされていなかった。林顯宗教授へのインタビューでは、植民地時代においける台内結婚(台湾人と内地人との結婚)について、台湾人男性にとっては立身出世の道であったことなどを聞き取ることができた。 国際結婚関連の書物・文献のデータ・ベース化を行なうとともに、日本社会学会において、テーマ・セッション「日本のイスラム社会」を立ち上げ、6人の報告者のコーディネーターを勤めた。さらに、Third Culture Kids(以下TCK理論)の研究で著名なCottrell先生、日系ブラジル人子弟に対してTCK理論を応用している南山短期大学の関口知子先生、日本人ムスリマと子どもの教育に視点をあてた竹下修子先生の3人で「移動をする家族と子どもたち」と題して、来年度秋の日本家族社会学会でのテーマ・セッションに向けての準備をすすめた。また、アルゼンチンのラプラタ国立大学からの要請で、国際交流基金より海外派遣研究者として8月に集中講義を行なった。英語での講義であったが、海外の研究者や学生にわかりやすく、20世紀の日本の近代化と国際結婚を説明する機会が与えられ、科学研究費の成果を交えながら講義ができたことを付け加えておく。
|