研究概要 |
本研究は,女性が加害者/被害者となった事件を研究対象とすることで,「性・ジェンダー」をめぐる社会意識を社会学的に解読していくための理論的枠組みを確立していくことを目的としている。 本年度は,昨年度と引き続き,犯罪と「性・ジェンダー」を社会学的に解読していくための「仮説構成」に向けた文献研究と資料収集及び調査を行った。具体的には,犯罪,社会制度,メディア,表象,ジェンダー,労働,階層/階級など,犯罪と「性・ジェンダー」を社会学的に解読していくために必要な国内外の文献を整備した。また,東京を中心として,近年に起きた女性が被害者となった事件に関する資料を収集し調査を行った。また,東京,大阪,京都で,「性・ジェンダー」に関する団体を通じて資料収集や調査を行った。 本年度行った研究によって,現段階で明らかとなった知見は以下の点である。社会的に,法律や制度が整備されることで,女性に対する差別や男女間の不均衡は解決されたかのように扱われているが,現実には,性犯罪を含め,さまざまな犯罪の被害者となるのは,多くの場合女性であり,加害/被害の関係には,女性に対する社会意識が反映されていると言える。本年度は被害者が女性の事例に限定して考察したが、今後は加害者が女性の事例について考察していく予定である。
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