震災から10年目を迎える平成16年度は大きな災害が多発し、被災地での災害ボランティア活動が非常に活発に展開された。連続水害と地震が重なり、ピーク時、国内に50箇所以上もの「災害ボランティアセンター」が設置きれていた。こうした状況もあり、平成16年度は「震災から10年目を迎えた災害ボランティア活動」という観点から調査研究を進めた。 まず、年度の前半では、平成15年に発生した宮城県北部地震の「災害ボランティアセンター」に関する調査(ヒアリング)データを分析し、「共助」による被災者支援システムとして定着してきた「災害ボランティアセンター」の設営に関するノウハウ(具体的な活動の流れや他の救援主体との関係等)を明らかにする一方、災害ボランティアセンターと他の被災者支援主体との関係性に言及している報告書をレビューし、論点を整理した。 さらに年度の後半は、新潟・福井豪雨災害、新潟中越地震における「災害ボランティアセンター」に関する調査を行った。新潟水害では、農村部の住民組織(行政区)を生かした災害ボランティアセンターの運営が行われており、都市部に親和性のある支援システムと見られていた「災害ボランティアセンター」の、中山間部・農村部での展開の可能性について注目している(平成17年度取りまとめ予定)。 また、震災以降、災害ボランティア活動の基盤整備がどの程度進んだのか「人・物・金・情報」という主要な4つの資源について整理し、特に財源獲得の必要性を指摘した。 震災復興支援活動に関する研究に関しては、「阪神・淡路大震災10年市民検証研究会」による検証事業に参加、月に一度市民活動の関係者と、ボランティア論、減災文化、国内外の災害救援活動の変遷などといったテーマについて議論し、3編の論文にまとめ、研究会の最終成果物(記念図書)に収録された。
|