2年目の最終年度である本年度は、昨年度も含めてこれまでの研究によって児童養護施設においても有効性が明らかといえるソリューション・フォーカスト・アプローチの技法を、児童養護施設職員に習得してもらうための効果的な継続的研修会の実施方法を更に明確にするための新たな取組みとして、昨年度参加してもらった職員に本年度の研修会におけるリーダー的役割をとってもらうことと、実際の事例への適用を理解しやすくするための、スーパービジョン形式の研修会実施を導入した。研修会は10月より3月にかけての月1回、合計6回実施し、のべで78人の児童養護施設職員が参加した。各研修会後のアンケート等の結果から、今年度新たに明らかになったこととして以下の4点があげられる。1.要約技法やコンプリメントといつた技法は、児童養護施設における実践において有効性があることの再確認。2.昨年度の課題であった、例外探しとスケーリング・クエスションに関しては、2年連続して参加している先生方に関しては、少しずつ理解が増しているが、やはり初めて参加した先生に関しては習得に更に時間が必要である。よって継続期間は月1回の6ヶ月では短い。3.昨年度参加した職員をリーダーとしたグループワーク形式の演習等は、同じ職務を行う者同士による学びという意味で理解を促進する面もあるが、ロールプレイ等においては難しい場合もあり、ファシリテータによる個別の支援が必要となる。4.ソリューション・フォーカスト・アプローチ的な特徴を導入したスーパービジョン(スケーリング・クエスションや例外探し等を事例提供者に問うことによって、すでにうまくいっていることの再確認と、子どもの変化の可能性に関する情報収集を行っていくスーパービジョン)は、従来型のスーパーバイザーが「答えを示す」形式よりも、事例提供者が安心感と自信を得やすくなる。 2年間のまとめとしては、子どもへの見方のみでなく、職員の日々の実践に対する見方も含めて、ソリューション・フォーカスト・アプローチ的な考え方は非常に有効である。その習得のための研修会の実施形態自体においても、「すでにうまくいっている面が日々の実践においてあるはず」という基本的態度をファシリテータが示しながら研修を行っていき、この技法を参加者自身が体験を通して継続的に学んでいけるようにすることが、有効な研修会実施のための1つのポイントいえる。
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