少年院や児童自立支援施設を退所した非行経験のある少年(以下、非行少年)が、施設退所後に自立して生活していくためには、就労先の確保が必要である。しかし、非行少年の就職先の確保は大変困難であることが指摘されており、就労の困難さが再非行の要因になることも考えられる。本研究はこうした状況を問題視し、非行少年の就労をスムーズに行うために必要となる条件を検討していくことを目的としている。初年度である平成16年度は青森県内の保護司を対象として非行少年の就労支援の現状と問題点に関して全数調査を行い、非行少年が雇用されにくい理由、非行少年が就職した企業規模や業種、企業が非行少年を雇用する際に重視していると思われる事柄などを明らかにした。 2年目にあたる本年度では企業側に対して、非行少年の職業体験活動や雇用の受け入れに関する考えを明らかにすることを目的に、青森県内の八戸地域と五所川原地域の商工会議所に加入している事業所(従業員数300人以下)に対して郵送調査を実施した(回収率は約28%)。主な調査項目としては従業員数や業種などの基本的な項目の他に、非行少年の就労及び職業体験活動の受け入れの可否、企業側が考える非行少年の雇用の際に重視する事柄、雇用を促進するために必要な施策などを設けた。結果については個人情報保護法を理由に企業の名簿入手が困難であったことから、調査時期が大幅にずれ込んでしまったため、現在集計中である。集計後の結果からは非行少年の雇用に積極的な業種が明らかになるため、就労先の確保に役立つものと考えている。また、就労支援を実施している保護司側と非行少年の受け入れ先となる企業側が「雇用に際して重視している事柄」をどのように捉えているかを比較することにより、就労支援する際に重視すべき点を明らかにできると考える。
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