本研究の目的は、日本のケア労働力の配置・雇用状況について、福祉レジームおよびケアの概念構成との関連に着目し、先進諸国と比較可能な統計・実証データを用いてその国際的な位置や特質を実証的に明らかにすることである。本年度は研究の第2年目であり、分析指標の設定と各指標に対応した各国データの収集、代表的事例の検討を進めた。 1.データの収集・・・各国の人口データ(高齢化率)、ケアワークの指標(ケアワークの専門分化、雇用状況、労働者属性など)および、福祉レジーム指標(ケアの費用・供給の規模と公私関係、女性雇用労働力の規模と雇用状況)、移民労働力の活用などについて、情報収集した。 2.代表事例の検討・・・アングロサクソン型福祉レジームの代表国・アメリカ合衆国を対象に、長期ケア(long-term care)の分野におけるケアワーカーの雇用、労働力の確保と活用、人材育成、インフォーマル・ケアの位置づけなどについて、政策における課題や視点、具体的取組などの情報収集を行った。その一貫として、全国エイジング協議会/アメリカ老年学会 合同研究大会(The 2006 NCOA-ASA Joint Conference)の年次大会にWorkforce(労働力)のセッションを中心に出席し、報告者やセッション参加者と、ケアワークの労働力確保の国際的動向や日本の動向について、協議した。 3.ケアワークの雇用状況・労働力確保策についての国際的動向、および、日本の動向の把・・・上記1.および2.で収集した情報・データにもとづき、また、先行の国内外の研究成果をふまえながら、日本のケアワークの雇用・労働力確保策の特徴的な点について、国際的な観点から、検討した。
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