今年度は、心理コンサルテーションを行なうにあたって重要となる環境と構造についての基礎的な研究を行なった。 一つは、コンサルティの働く場の風土および心理的な課題について文献を元に考察した。心理的課題としては、(1)適切な心理アセスメントの欠如と(2)個別心理療法実施における課題があり、(2)には、役割モデル、目的、生活施設における心理臨床の特徴があると思われた。また、本研究テーマである心理コンサルテーションの重要性やCWワーカーのメンタルサポートの重要性も示唆された。 また、心理コンサルテーションに関する内外の文献を収集し、文献的考察を行なった。心理コンサルテーションは精神保健の領域で発展してきたが、現在ではスクールカウンセリングの領域において、研究・実践が多く行われていることがわかった。プロセスや介入の方法などについての研究は行なわれているが、全体的に今後のより詳細な実証的研究が必要とされているということが示唆された。特に、コンサルテーションによってコンサルティの何が変化しているのかということについての実証的研究は、コンサルテーションの効果と機能を明らかにする上で必須のものと考えられる。また、現在児童福祉施設に多く生活している虐待を受けた子どもの援助者への心理コンサルテーションにおいては、サポート機能とコンサルティークライエント関係に介入するコンサルタントの機能、虐待を受けた子どもの心理行動特徴などに関する知識を伝える教育機能などが重要になるということが明らかとなった。 これらを受けて、サポート機能とコンサルティークライエント関係に介入するコンサルタントの機能、虐待を受けた子どもの心理行動特徴などに関する知識を伝える教育機能に焦点を絞り、コンサルテーションの場面分析をすすめている。
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