放課後児童健全育成事業(学童保育)の実践内容や方法は、多様である。それは、児童福祉施設における児童福祉施設最低基準にあたる「基準」が定められないことに起因している。こうした「基準」がないなかで、放課後児童健全育成事業は、市町村ごとに独自に発展し、結果として全国的にみれば不均等な発展を遂げてきた。職員の任用にあたっての資格、研修体制、人数規模、事業の実施場所・建物、実践の方法と内容も大きく異なっている。また、実践内容や方法に焦点をあててみれば、異年齢の「班」やグループを構成して係活動に取り組み生活集団とする実践現場もあれば、そうしたグループワークには全く取組んでいない実践現場もある。「遊び」を豊かにするため、コマやけん玉、その他による伝承遊びに取組み、職員による指導や援助が行われている実践現場もあれば、職員による指導や援助が行われない「放任」現場もある。その他、行事の有無、保育計画の有無、ケース検討会の有無等、多様である。 研究の2年目である2005年度は、こうした多様性を規定する基本的な条件は何かを探るため、学校敷地内に設置されている事業(岡山市内)、民家やテナントを利用して実施されている事業(大阪市内2ヶ所)、プレハブを立てて実施されている事業(名古屋市内)の現地調査を行った。いずれも経営は、実質地的に父母らによって経営されている事業である。 仮説的にいえば、実践の内容や方法を規定する条件は、大きく3つになる。第1に、子ども集団の規模と施設条件であり、第2には、第1の条件に規定されながら取り組まれるグループワーク(集団づくり)の方法論)である。特に、異年齢集団におけるリーダーシップの理想像や指導法である。第3には、第2にいく集団づくりを含んだ施設生活の構造・生活リズムの構成内容である。最終年度となる次年度にも、さらに現地調査を重ね、より精緻な条件を抽出し、実践の類型化を行いたい。
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