今年度は研究2年目であった。2006年2月から3月にかけて渡独し史料調査を行った。3週間強という短い調査期間であったが研究進展においては非常に有益であった。なお、調査を行った機関は以下の通りである。 ・Die Bundesarchiv (Berlin) ・Die Staatsbibliothek zu Berlin (Berlin) ・Die Deutschesbibliothek (Frankfurt am Mein) これらの文書館、図書館では、(1)共和国少年福祉法(Reichsgesetz fuer Jugendwohlfahrtgesetz、1922)に関する史料および先行研究、(2)社会教育(Sozialpaedagogik)に関する研究の収集、という2つの目的から史料調査を行った。(1)については、ライヒ議会や制定のための専門委員会の審議過程を記した議事録やそこで議論された草案を入手することができたことが何よりの収穫であった。これまでの研究において、共和国少年福祉法は、その重要性に関わらず、福祉史においても教育史においても必ずしも十分に検討されてきたわけではなかったが、この史料により、この法律の新たな側面が明らかになると予想される。(2)については、ハンドブックや事典といった基礎的なものから、研究者による論集という専門的な文献まで、基本書といわれるもの(の一部)を収集した。いまだ検討に至っていないが、そのなかで改めてドイツと日本の社会教育という概念の外延の違いを見せられた。当然なことであるが、SozialpaedagogikはSozialarbeitと大きく関係があり、Sozialpaedagogikという概念自体が(教育福祉などとわざわざ言葉を使わなくとも)きわめて福祉的な意味合いを持ったものである。このような青少年へのかかわりのあり方の検討は今後の大きな課題である。
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