本研究の目的は、以下である。 (A)社会福祉における論理的基盤の一つとされるフーコーの議論の妥当性を明らかにする。 (B)Aを含む新しい理論を生む要因について、いくつかの事例を通じて検証する。 (C)一つの社会福祉理論を生み出す歴史的・社会的背景を明らかにする。 また、本年度は以下のような計画を実施する予定であった。 (a)英国においてフーコーの影響を受けつつソーシャルワーク理論の研究を精力的に押し進めている、研究者のもとで短期的な研究を行う。 (b)(a)と同時期に、LSEに敷設された資料室において資料収集をおこなう。 (c)国内において、資料収集作業をおこなう。 (d)(a)・(b)・(c)で得た知見を参考に、研究目的の(C)の範疇の論文を執筆する。 平成16年の年末に(a)・(b)をおこなう予定であったが、学内事情のため、2月・3月の出張となった。したがって、計画の(b)資料室において資料収集は実現できたが、(a)は予定を変更して、(1)イタリア・トリエステの精神病院を見学、(2)ケンブリッジ大学・Capability and Sustainability Centreを訪問しワークショップに参加することにした。両方ともに本研究の知見を深めるために有意義であったと考える。 また、(c)国内における資料収集作業も順調におこなえた。 (d)では、研究目的の(C)の範疇の論文を執筆する計画であった。すでに原稿は年末に出版社に提出しており、2005年に単行本として出版する予定である。
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