本研究の目的は、以下である。 (A)社会福祉における論理的基盤の一つとされるフーコーの議論の妥当性を明らかにする。 (B)Aを含む新しい理論を生む要因について、いくつかの事例を通じて検証する。 (C)一つの社会福祉理論を生み出す歴史的・社会的背景を明らかにする。 本年度は以下のような計画を実施する予定であった。 1)SPA(イギリス社会政策学会)で報告する(研究目的の(A)・(B))。 2)研究目的の(B)・(C)についての英語論文を学術雑誌に投稿する。 3)研究目的の(B)・(C)に該当する部分を出版し、全体のまとめを行う。 昨年度、今年度の研究に向けてSPA(イギリス社会政策学会)に参加することを予定していたが実行できなかったため、これを行い、英語論文の作成に向けた取り組みをおこなっていく予定であった。しかしながら、準備不足と職場を移り資格関連の講義を15コマ確保しなくてはいけなくなった(補講時間を確保するのも困難な状況であった)事情などから、学会の参加や報告は今年度もおこなうことができなかった。 したがって、(A)・(B)・(C)を研究目的とした本年度の研究計画(3)を充実させるべく研究をおこなってきた。平成18年8月8日(火)から平成18年8月29日(火)までおこなった出張では、ケンブリッジ市内の福祉関係施設・機関において資料収集、研究会参加、研修などをおこなった。ここで得た知見と3年間の研究成果は、2007年5月には原稿を仕上げ、2007年中には出版する予定である(『ソーシャルワーカーは専門職か』と題し勤草書房より出版予定)。また研究目的の(C)の一端として海外研究の翻訳を同時におこなっていたが、これを期間中に出版することができた。今回蓄積することができた資料や知見をもとに、今後とも目的の達成を視野に誠心誠意研究に取り組んでいく所存である。
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