研究課題
環境問題の解決策に関する事例調査及び実験研究から、社会的ジレンマ状況における合意形成プロセスの研究を行っている。合意形成の中でも、解決策としての制度導入支持へ関連する要因としてのフリーライダー問題と手続き的公正の観点から検討する。本研究では、環境問題のジレンマ解決への合意形成の阻害・促進要因としてのフリーライダーと公正の知見について、ゲーム実験及び事例調査から検討している。(1)ゲーミング・ゲーム実験 フリーライダーの存在が、制度導入に至る評価への影響を明らかにすることで、いかなる手続きなら合意しやすいか、あるいはフリーライダーが存在すれば結果のみならず手続きも不公平だと評価されて合意しにくいのかなどについてゲーム実験を用いて検討した。この成果は6th Biennial Conference on Environmental Psychologyにて報告された。また、新たなゲーミングを試作した。産業廃棄物の不法投棄問題を扱い、従来の単純な社会的ジレンマ構造に、利得の非対称性、情報の非対称性、フローの一方向性などを加味し、プレーヤー間のインタラクションがある現実味をもったゲーミングを開発している。(2)事例調査 環境問題に関する社会的ジレンマ及び公正感に関する社会調査を2つ実施した。一つは、いわゆるポイ捨て禁止条例の受容に係る調査である。千代田区における事例調査の結果、手続き的公正感が高いほど施策を受容しやすいという結果が得られた。もう一つは、自転車の路上違法駐輪に関する調査で、社会的ジレンマ事態における行動選択の一つと捉えたときに、現実には、監視や罰則の強化はあまり有効でなく、外界の誘因を考慮した強化子を発見していく方法が有効である可能性を示唆した。これらの成果の一部は既に国際学会で発表したが、多くは未発表であり、今後、国内外の学会等で報告していく予定である。
すべて 2005
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Japanese Psychological Research 47・1
ページ: 1-11
環境情報科学 33・4
ページ: 89-98
Abstract Book of 6th Biennial Conference on Environmental Psychology, Bochum
ページ: 37
ページ: 52
ページ: 53