研究概要 |
【目的】 本研究では、『研究I』沖縄県の楽観的特性が多くの先行研究でいわれる健康生成的楽観性であるのか、あるいは、全く別の特性をもつのかについて、「ポジティブイリュージョン」および「対処先送り的、その場しのぎ的楽観性」等の検討を含め他県地域との比較検討を行う。『研究II』青年期・成人、中年期・更年期における楽観水準と心身の健康状況との関連性について検討を行い。オプティミスティック特性の我が国における特徴についての基礎資料を作成する。 【調査方法及び対象】 「素質的オプティミズム」を測定する項目としてLOT-R6項目。「ポジティブイリュージョン」に関する7項目。「対処先送り的、その場しのぎ的楽観性」等に関する9項目。健康水準を測定するGHQ12。現在の健康状況(生活習慣病リスク)を確認するための8項目。その他8項目。計50項目について、沖縄県(1,000名)および茨城県、鹿児島県他(1,000名)計2,000名について調査を行う予定である(現在調査及び調整中)。 【現段階における結果】 現在(平成17年3月現在)、沖縄県内データ約100名について、相関分析を行った。その結果以下のような結果が得られた。(1)「食事に気をつけている」と「積極的に歩いたり、運動・スポーツ(30分以上)を行っている」について有意な相関関係が認められ(p<.05)、食事に気を使うものは、運動も積極的に行っている可能性が示された。(2)「食事に気をつけている」と「嫌な事は後回しにする」について、負の相関関係が示され(p<.01)、嫌な事をよく後回しにする人は、食事にも注意を払っていない可能性が示された。(3)「LOT-Rの楽観性」と「対処先送り」「後回し」について相関関係が示され(p<.01)、楽観的傾向の強いものは、物事の対処を先送りにしたり、嫌な事を後回しにする傾向が強くなる可能性が示された。(4)健康との関連については、楽観的傾向の強い人は、GHQから見た調査票上の健康水準は高く、これまでのいくつかの先行研究を支持する結果となっている。しかし、今回生活習慣病リスクとしての実際の健康状況との関連においては、有意な関係性は見出せず、楽観的傾向の高い人が、低リスク(良健康)になるとはいえない。したがって、今回の研究が仮説として掲げる楽観的傾向の高さが、むしろ生活習慣を悪化させるネガティブファクターになっている可能性があり、平成17年度、沖縄県及び他県2,000人規模で詳細検討を行い、全体像および地域間比較を行っていく予定である。
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