本研究は、楽観性の程度及び質についての検討と楽観性と健康状況との関係を明らかにし、今後の沖縄県および我が国のヘルスプロモーションへの一助となるべく基礎資料作成を以下に示す2つの研究により行った。 【研究I】 研究Iの目的は、青年期(高校生・大学生)を対象に沖縄県の楽観的特性と他県との比較検討、さらにその楽観性が多くの先行研究でいわれる健康生成的楽観性であるのか、「多様な楽観的特性」の視点により検証を行うことである。その結果、沖縄県の楽観性はいくつかの視点で他県に比べて高い傾向を示した。また、楽観的傾向は主観的健康感との間に有意な関係性を示した。しかし、いかなる状況においてもこの理論が成立するかについては、若干の疑問が残り、詳細検討すべき課題があることが示唆された。またこれらに付随して総合的に考察を試みた結果、沖縄県独特の楽観性パターンの存在は見出すことは出来なかった。 【研究II】 研究IIの目的は、一般を対象に楽観水準と心身の健康状況(主観的健康感、実際の健康状況)との関連性について検討を行い。今後、楽観的特性が健康行動へ与える影響力の検討行う際の基礎資料を作成することである。その結果、沖縄県の楽観的傾向は、特に非現実的楽観性について他県よりも高いことを示しており、また悲観的側面については、他県のほうが高い傾向を示した。また、主観的健康感には、沖縄県、他県に差はなかったが、生活習慣病に関連する各項目において、血圧や太りすぎ(肥満傾向)の項目については、有意に沖縄県の比率が高い傾向が認められた。次に楽観的傾向と健康状況との関連については、生活習慣病リスクの視点より実際の健康状況(生活習慣病関連項目)と楽観的傾向との関連性はみられず、さらに、その他項目においても、主観的健康感と実際の健康状況との違いが認められたことから、オプティミストは健康であるとのこれまでの知見とは一部異なる結果が得られた。
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