まず、日本における「非紛争状況での」集団間接触とネットワーキングの調査を行った。バーチャルあるいはリアルな異文化接触経験と、関係構築性とのかかわりを調べだ結果、バーチャルな接触であっても、条件によっては、リアルな接触での従来仮説を支持する結果が得られた(2004年8月。国際学会誌投稿中)。 これをふまえ、紛争地での集団間接触状況と、ネットワーキングの調査を行った。国内外の先行研究を収集し(2004年8月〜10月)、2004年9月に予備調査を行った上で、イスラエルとパレスチナ自治区の両地域の紛争地において半構造的面接調査を行った(2004年12月〜2005年1月)。分析結果は現在、国内および国際学会へ投稿準備中であり、書籍の出版についても出版社と相談中である。 さらに日本国内での「紛争状況での」調査を行った。集団間紛争の社会状況をシミュレーション・ゲーミングの手法でゲーム・デザインし(2004年11月〜2005年1月)、約50名の大学生による実験室調査における行動と心理を詳細に記録・分析した(2005年1月)。その結果、紛争や利害対立という状況下にあっても、相手集団構成員との接触を持てた者は、テロなどの破壊的関係への意欲を下げると同時にNGOなどの対話的手法を多く模索したのに対して、相手集団構成員との接触がまったくない・あるいは許されなかった者は、破壊的関係への意欲を上げるという顕著な傾向が見られた。これらのシミュレーションの概要と統計的数値の一部を国内学会誌に投稿し(2005年2月)、同時に国際学会での発表を申請し(2005年2月)、受理された。介在する心理尺度との関係を加えた詳細な統計的分析を、国際学会誌へ投稿準備中である。
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