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2004 年度 実績報告書

4歳前後の幼児期にみられる認知発達の変化が後の記憶へ及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 16730332
研究機関清泉女学院大学

研究代表者

上原 泉  清泉女学院大学, 人間学部, 講師 (80373059)

キーワード乳幼児健忘 / エピソード記憶 / エピソード報告 / 4歳 / 語り(ナラティブ) / 内面の意識化
研究概要

小学生や幼児が,どれくらい自分の過去の出来事について覚えているのか,また,どのように自己の過去を認識しているのかについて,主に,縦断的なインタビュー調査により調べた。その結果,どの年齢帯の子どもにおいても,自覚的に遡って思い出せる一番古い記憶は,3,4歳頃である可能性が高いことが示され,成人のみならず,既に子どもの時期から乳幼児健忘(ある一定の乳幼児期の出来事を意識的に思い出せない現象)が存在することが示唆された(上原,2005)。「・・した」と過去形の文で報告できるようになる年齢が2,3歳頃であることを考慮すると,乳幼児健忘の原因は,過去の出来事を語るための言語能力(「語り(ナラティブ)」能力)の欠如ではないことが伺える。むしろ,自己の内面の意識化,過去という認識,自分が経験したという認識,などが関わり,エピソード記憶そのものの成立と関連しているように思われた。数人の子どもの縦断的データにあたり,4歳未満と4歳以降でみられた事例を詳細に調べ,過去の出来事の語り(エピソード報告)の様子について検討した結果,4歳未満では,明らかな間違いを含む報告が多いものの(想像上の話や伝聞情報を実体験として話すなど),4歳をすぎると,その報告はより正確になることが示された(Uehara,2005)。他の広範囲な認知能力でみられる4歳での劇的な発達変化と深い関係にあることが推測され,個々の4歳前後の変化がどういう関係にあるのか,引き続き検討したい。また,縦断的調査より,環境が変わる(幼稚園から小学校へ変わる,小学校のクラスが変わる,引っ越し等)と,変わる以前に経験した出来事について自ら語ることが極端に少なくなるという印象もある。周囲の環境の変化の視点からも,個人の過去の出来事の語りについて今後検討していく必要があると考える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 4.子どもはどれくらい幼少期の個人的な出来事を想起できるのか-縦断的な事例研究-(自伝的記憶研究の理論と方法(2)内)2005

    • 著者名/発表者名
      上原 泉, (佐藤, 越智, 神谷, 上原, 川口, 太田(著)内)
    • 雑誌名

      認知科学テクニカルレポート No.55

      ページ: 17-21

  • [雑誌論文] 乳幼児の記憶発達に関する新しい理論構築の試み2005

    • 著者名/発表者名
      上原 泉
    • 雑誌名

      清泉女学院大学人間学部紀要 第2号

      ページ: 3-13

  • [雑誌論文] 女子学生の希望するライフコースと子育て観-学科別に見た傾向-2005

    • 著者名/発表者名
      向田久美子, 上原泉, 高崎文子
    • 雑誌名

      清泉女学院大学人間学部紀要 第2号

      ページ: 15-23

  • [図書] 実験で学ぶ発達心理学 2-1 乳児期の記憶(上原担当)2004

    • 著者名/発表者名
      上原泉, 杉本伸一郎, 坂田陽子(編)内
    • 総ページ数
      44-51
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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