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2004 年度 実績報告書

自己統制の役割とその規定要因の検討:日米の児童の行動分析を通して

研究課題

研究課題/領域番号 16730333
研究機関愛知学院大学

研究代表者

中田 栄  愛知学院大学, 心身科学文学部, 助教授 (00350934)

キーワード自己統制 / 行動分析 / 日米の情動表出 / 自己の発達 / 社会性の発達 / 自己効力 / 文化的背景 / 日本と米国
研究概要

【研究目的】
本研究では、文化的背景によって異なる自己統制の特徴をみいだし、日米の自己統制の規定要因について検討することを目的とする。子どもに対して新奇な2種類以上の情報が同時に提示された場合に、一方の情報を探索した後、もう一方の情報を探索し、先に見た情報を修正し、新たな情報を付け加えながら複数の情報を統合していく経過について質的に検討し、日米の児童の自己統制について行動分析を行った。
【方法】
1.研究目的を達成するための方法:米国と日本の同数の児童を対象に面接と調査の協力体制で記録を行った。事前に訓練された面接者1名と補助者(記録係)を前半と後半に分けて実施し、全体で480分間のビデオ記録を分析した。
2.研究を遂行する上での具体的な工夫
(1)被験者は児童を対象とし、独自に作成した3種類の動物型の課題(双方的反応課題)を行う。
(2)自己統制尺度(検証尺度を含む)、デジタルビデオカメラ2台とワイヤレスリモコン
(3)分析の視点子どもの反応に対応した動きをする課題を用い、2種類以上の情報が提示された場合、複数の情報を知識構造の中に統合していく過程を検討し、自己統制との関係を検討した。
【結果】
子ども同士が課題を行う場面をタイムコード化して記録し、類似した場面ごとに検索し、行動分析を行った。その結果、以下のことが明らかにされた。
1.子どもにとって新奇な2種類以上の情報が同時に提示された場合に、一方の情報を探索した後、もう一方の情報を探索し、先に見た情報を修正し、新たな情報を付け加えながら複数の情報を知識構造の中に統合していく過程をみいだした。その過程で、次の行動を実行するために他者の表情を参照することは、日本の児童に特徴的であった。
2.米国の児童の課題遂行では、分解したり、組み立てたりする探索行動が顕著であり、自己の考え方を周囲に示し、状況を変化させる方向に働きかける特徴が示唆された。
【考察】
日本の児童の行動分析では、他者の表情を参照して自己評価することが顕著であることに対し、米国では、他者の表情を参照した自己評価よりも自己決定に基づく行為が顕著であった。米国の児童の自己効力と興味の持続は、課題遂行中と遂行後のいずれも低下せず、周囲の評価や状況に左右されない自己の特徴がみいだされた。今後は、日米の児童の自己統制の特徴を縦断的に検討することによって、これまでの西洋的な観点に偏った自己統制の理論を修正・発展させていくことを試みる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 対人相互作用に伴う自己統制の変容過程についての発達心理学研究2005

    • 著者名/発表者名
      中田 栄
    • 雑誌名

      応用教育心理学研究 20・26

      ページ: 24-38

  • [雑誌論文] Developmental research on children's understanding of different cultures and development of friendship ; Future issues and prospects on children's development and adaptation to different cultures.2004

    • 著者名/発表者名
      中田 栄
    • 雑誌名

      International Congress of Psychology 28

      ページ: 149

  • [雑誌論文] A comparative study of development of self-regulation of infants as they interact with others-Based on observations of infants raised in the U.S. and Japan.2004

    • 著者名/発表者名
      中田 栄
    • 雑誌名

      International Congress of Psychology 28

      ページ: 84

  • [雑誌論文] 子どもの自己効力の育成をめざしたコンサルテーションによる支援2004

    • 著者名/発表者名
      中田 栄
    • 雑誌名

      愛知学院大学人間文化研究所紀要 19巻

      ページ: 151-176

  • [図書] 対話で学ぶ心理学2004

    • 著者名/発表者名
      中田 栄
    • 総ページ数
      1-218
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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