研究概要 |
平成16年度は,教員志望学生が,小学校の問題場面(教師あるいは児童がフラストレーションを抱える場面を指す)での言葉かけを学ぶためのeラーニング用教材を作成するための取り組みを行った。この取り組みについては,次の2つの段階ですすめた。 (1)教材用の資料の整理ならびにその追加収集 研究代表者は,日本の小学校においてしばしばみられる問題場面での教師行動ならびに言葉かけの検討を行ってきた(西口,1996;1997;1998;2000;2001;2004)。これらのうち,被調査者数の少ない調査に対して,追加のデータを収集した。この一連の研究では,いかなる問題場面において,小学校教師がどういった行動あるいは言葉かけが可能であり,またそれぞれが児童に対していかなる影響力を持っているかについて明らかにしてきたものである。これらの実証的なデータを踏まえながら,(1)問題場面での教師の言葉かけにはどういったバリエーションがあるか,ならびに(2)それぞれの言葉かけが,どういった影響力を児童にもたらしうるか,について教員志望学生が学びやすい教材となるように,問題場面別に整理した資料を作成した。この資料については,中部大学の「人文学部研究論集(第14号)」に公刊される予定である。 (2)eラーニング教材への加工 問題場面での教師の言葉かけについて,コンピュータ端末から閲覧して学ぶための学習コンテンツを,(1)でまとめた資料に基づいて作成した。コンテンツの内容は,学習者である教員志望者に仮想の問題場面を呈示し,彼らが行うとされる言薬かけについて入力させたあとで,指導の特徴についてフィードバックを与え,同時にその他の言葉かけの特徴について学ぶという形式のものである。
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