研究概要 |
青年が過去に親から心理的に、また精神的に傷つけられてきたことに焦点を当て、自由記述のデータを元にして、「親からの心理的、精神的傷つけられてきたこと」についての分類を試みた結果を元にして、85項目からなる質問紙を作成し、大学生を対象に質問紙調査を実施し、このデータをクラスター分析法により分析した。その結果、青年が親から心理的・精神的に傷つけられる場面について24個のクラスター(1親の家庭への愛情の無さ,2冷えた夫婦関係,3親の暴力的な行動,4子どもの気持を無視した親の態度・行動,5親の過度な期待,6専制的な親の態度・行動,7いい加減な親の態度・行動,8子の人格を否定した親の態度・行動,9試験での失敗に対する非難,10親の子に対する非難,11子への過度な干渉,12友人関係についての口出し,13親の束縛,14自己中心的な親の姿,15親の押し付け,16外見についての干渉,17子どもをけなす行動,18親の無神経さ,19幻滅した親の姿,20親の勝手さ,21夫婦関係のいざこざ,22親からの罵り,23子どもっぽい親の態度・行動,24ささいなことで怒る親の態度・行動)が得られた。さらに、これら24クラスターごとに平均値を算出し、これらの合計得点の平均値を、構成する項目数で割ると3点を超えるクラスターはなく、全体的にみて、心理的・精神的に傷つけられていると思っている青年は少ないという結果が得られた。また男子・女子、父親・母親の間で差があるのかを検討した結果、子ども性別(息子・娘)の間で差が認められたものは、父母の第16クラスター(外見についての干渉)と母親の第8クラスター(子の人格を否定した親の態度)のみであり、いずれも女性の方が傷つきやすい傾向であった。また親の性差は多くのクラスターにおいて認められるという結果が得られた。
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