研究概要 |
本研究は,羞恥心,罪悪感の生起因および問題行動制御機能が青年前期においてどのように発達的に変化するのかを質問紙法によって明らかにすることを目的としている。罪悪感,羞恥心に関して,中高生を対象とした場合に信頼性、妥当性ともに十分な尺度がなかった。そのため,尺度公正に向けて今年度では罪悪感と羞恥心の経験の自由記述に関する調査を行った。 調査対象は,関西圏40km圏内に在住している13〜18歳までの中学生〜高校生であった。対象地区内で,調査協力に応じていただいた中学校,高等学校それぞれ1校で調査を行った。対象者は,全学年であった。ホームルーム中に教師が実施し,封筒に密封して回収した。調査の結果,1000を越える罪悪感,羞恥心の経験が収集された。罪悪感,羞恥心の経験は,研究者が作成したカテゴリーに分類された。カテゴリーは,大学生の尺度を参考にしており,罪悪感に関しては他傷,配慮不足,利己的行動,負い目,羞恥心に関しては,ハジ,テレ,対人緊張,対人困惑を設定した。ハジに関しては,私恥と公恥の区別も行った。こうしたカテゴリーに含まれない経験については,新たにカテゴリーを作成するという方針で分析を行った。分析の結果,概ね大学生の経験と違いは認められなかった。現在,さらに詳細な分析を行うと同時に,各カテゴリーに含まれた経験から項目を作成している段階である。今後,尺度項目を完成させ,17年度において本調査を実施する予定である。
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