研究概要 |
本研究は,羞恥心,罪悪感の生起因および問題行動制御機能が青年前期においてどのように発達的に変化するのかを質問紙法によって明らかにすることを目的としている。罪悪感,羞恥心に関して,中高生を対象とした場合に信頼性、妥当性ともに十分な尺度がなかった。そのため,尺度構成に向けて前年度に罪悪感と羞恥心の経験の自由記述に関する調査を行い,1000を越える罪悪感,羞恥心の経験を収集し,分析を行った。分析の結果,中学生,高校生と大学生の経験内容に大きな違いは認められなかったが,頻度については発達的な変化が見られた。たとえば,他傷カテゴリーは,中1では回答中53.8%に含まれていたが,高3では16.4%に過ぎなかった。以上の結果については,2006年度の発達心理学会で発表を行う。 本年度は,罪悪感,羞恥心と問題行動との関係について明らかにするための質問紙を作成し,実施した。具体的には,中学生,高校生にとって特徴的な罪悪感および恥の喚起状況を10個取り上げ,それぞれの状況においてどのように感じ,振る舞うかについて想像してもらい,項目に回答してもらった。共感性,原因帰属,恥,罪悪感などの自己意識的感情と怒り,攻撃性,不適応行動の関係を多変量解析によって明確にする予定である。現在,調査結果は分析中であり,実施中の調査場所もある段階である。今後,国内誌への投稿を行い,結果を公表する予定である。
|