研究概要 |
●健常大学生を対象としたDEX(遂行機能障害の質問表)の検討 〔目的〕健常大学生の回答傾向を把握し,DEXの因子構造について検討する。〔方法〕被調査者:健常大学生270名。質問紙:DEX。〔結果〕回答傾向:平均評価点28.30(SD10.85,4点-66点)。因子構造:主成分分析後promax回転を行い,4因子解(感情意欲制御不足,行動制御不足,自己中心性,無計画性)が最も解釈良好であった(説明率48.3%)。〔結論〕大学生は「遂行機能の問題」を高めに自己評価する傾向が認められた。DEXは4因子構造であった。(本研究成果は第28回日本高次脳機能障害学会総会にて発表した。) ●日常的な自己制御は遂行機能,動機・意欲によってどの程度説明されるか 〔目的〕日常的な自己制御を,遂行機能,行動抑制・接近システムの両者から説明する。〔方法〕被調査者:健常大学生408名。質問紙:DEX,行動抑制システム・行動接近システム尺度(BIS/BAS),日常的なセルフコントロール(SC)尺度(改良型SC,調整型SC,外的要因によるコントロール)。〔結果〕尺度間相関では,改良型SCはDEXの無計画性と負の,外的要因によるコントロールはBISの懸念・罰感受性,回避ドライブ,抑制性,DEXの感情意欲制御不足,行動制御不足,無計画性とそれぞれ有意な正の相関を示した。SC3下位因子を従属変数に,DEX,BIS/BAS下位因子を独立変数としたステップワイズ重回帰分析では,改良型SCはBISの抑制性から,外的要因によるコントロールはBISの懸念・罰感受性から強い正のパスが認められたが,いずれのSC下位因子も,DEX,BIS/BAS両者の下位因子からの中程度の有意な影響を受けていた。〔結論〕遂行機能,行動抑制・接近システムはいずれも日常的な自己制御に影響を与えている。(本研究成果は平成17年度内に学会発表予定である。)
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