研究概要 |
自己愛的な人格構造をもったタイプA行動パターン(以下,タイプA)のメンタルヘルス上の諸問題の検討した本研究であるが,本年度は児童・生徒を対象とし,とくにタイプAとメンタルヘルス上の問題に焦点をあてて研究を行った. まず,児童のメンタルヘルスを評価するにあたってどのような指標が適切か検討されたが,タイプAが達成にかかわる問題を扱っていることから,達成に伴う不安としてのテスト不安を取り上げることとした.そして,タイプAとテスト不安の関係を質問紙によって調査したがとくに明白な関係が見いだされなかった.そこでその原因をさぐったところ,タイプAがそのまま不安の高まりなどのメンタルヘルス上の問題につながるのではなく,何らかの仲介変数が介在していることが示唆された.これは本研究と関連し実施していた中学生を対象としたタイプAと学習動機づけの研究の結果から導かれたものである. そこで,次に,タイプAが学習に対する動機づけを介在し,テスト不安の高まりと関連していることを検討することとした.この調査結果については共分散構造分析を用いたモデル化を行い一連の仮説がおおむね実証されることになった(この結果は,平成17年7月に開催されるStress and Anxiety Research Societyの大会において発表する予定である). また,これと関連し以下の2つの事項についても実施し,次年度への橋渡しとした. 1.自己愛パーソナリティとタイプAとの関連の基礎研究としてタイプAの形成に及ぼす家庭環境などの影響の検討 2.自己愛パーソナリティとタイプAとの関連を力動心理学的な視点から検討するため,投影法による予備的な調査 このうち1.については論文として公表した.
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