研究概要 |
本研究は、児童生徒の問題を予防し、こころの成長を促進させる機能を果たすカウンセリングのあり方としての絵画療法の実践を行い、日独比較を通じて調査研究することである。また、その中で、子どものこころの問題の基盤にあたる家族について家族イメージ彩色法を施行し、比較検討も行う。今年度は、学校カウンセリング(絵画療法)を行う場の整備を行い、実践を開始し、主として情報収集努めた。詳細は以下の通りである。 1 協力学校:日本では三重大学附属小学校で行った。(附属中学校も予定していたが、学校の事情により施行できなかった。)ドイツでは、いずれもブレーメン州にあるDie Grundschule am Buntentorsteinweg(小学校に相当),、Gesamtschule West(中学校に相当)、F□rderzentrum(養護学校に相当)で行った。 2 絵画療法の場の整備と開始:小学校内の図工科準備室を使用し、描画道具、粘土等を準備し、2004年10月より「こころのアトリエ」と称して週1回の継続カウンセリングを開始した。 3 絵画療法の実践:現在まで1年生から6年生までの計7名の児童に対して実施した。いずれの児童、保護者、担任教師に対しても、学期に1度子どもの状態を測定するための質問紙を実施し、面談を行った。また、家族イメージ彩色法の実施も平行して行った。 4 調査結果:児童は喜んでこの活動に参加した。これにより保護者への支援も容易にでき、担任教師へもコンサルテーションを通じて連携することができた。また、一部の児童の行動は著しく良好な変化をみせた。これは本活動の成果であると、本人・保護者・教師が認めている。絵画療法の実践の開始が、学校での場の整備に時間がかかったことにより、遅れたため、論文というかたちでの報告書作成をすることはできなかったが、IAACT(芸術創造を用いたセラピーの国際学会)において成果を報告することができた。
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