研究概要 |
平成16年度は,(1)国内外における大学生の学生相談への認知,態度,期待,イメージに関する文献研究,(2)アメリカの大学における学生相談の状況の視察,の2点を中心に研究を行った。 (1)国内外における研究論文の文献研究について アメリカの文献を中心に研究論文約120文献を収集し,文献研究を行った。この結果,アメリカでは,特に,大学内における学生相談機関の位置づけを学内外に強くアピールすることを意識し,マイノリティに属する学生の来談を促進するための方法を含め,学生をいかに学生相談機関への来談に結びつけるかというテーマに関する研究が強い関心を持って行われていることが明らかになった。これに対し,日本では,学生の来談を促進するための具体的な方法を見いだすための系統だった研究が不足しているという問題点と,学生の来談を促進させることに対する目的意識が不明確であるという問題点が見いだされた。 (2)アメリカの大学における学生相談の状況の視察について アメリカ・ハワイ大学マノア校のCounseling and Student Development Centerを訪問し,ディレクターのDr.Allyson Tanouyeに面接調査を実施した。その結果,ハワイ大学の学生相談のあり方には,地域的・歴史的な背景,大学の教職員・学生の人種的な構成比の要因,学生相談にかかわるスタッフの考え方の影響などが深く関わっていることがうかがえた。そして,これらの点についての理解抜きにしては,ハワイ大学め学生相談活動に対する理解も表面的なものとなると感じられた。日本においても,各大学の学生相談のあり方に影響を及ぼしている背景・要因を分析し,その大学の学生相談のあり方を相対的に捉えなおす試みの必要性が示唆された。
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