認知症高齢者を自宅で介護している家族(介護者)の心理プロセスについて検討するため、本年度は以下の研究を行った。 1.介護者へのセルフヘルプグループの実施 自宅で高齢者を介護している家族を対象に、セルフヘルプグループを実施した。これへの参加は認知症高齢者を自宅で介護している家族であれば自由に参加することができた。その場では、介護に関する質問や介護にまつわるさまざまな感情について語られ、介護することには身体的負担や心理的負担、経済的負担がかかること、それを軽減するには、家族のサポートや専門家からの援助の必要性などが語られた。 2.心理プロセスに関する調査および事例研究のための調査用紙作成 高齢者を介護する家族の心理プロセス解明のための質問調査を実施するため、質問項目の収集と尺度作成の目的で、自宅で認知高齢者を介護している家族を対象とし、介護者に半構造化面接を行った。面接では、介護している高齢者の身体的機能の状態、心理的機能(認知症状、自我状態など)、介護期間、介護者のストレスの度合いや介護に対する感情などを尋ねた。質問紙の項目は、介護者の介護に対する現在の心理状態(ショック期、とまどい期、嫌悪期、あきらめ期、受容期など)と身体的ストレスの大きさ、心理的ストレスの大きさ、介護期間などから成り立っている。 この質問調査および事例検討は次年度に実施し、その結果は学会発表や論文で報告する予定である。
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