研究概要 |
今年度の研究実績は以下の通りである。 1.運転者の普段の車輌運転挙動を計測する装置を開発した.この装置は従来の運転挙動測定装置とは異なり,被験者自身の私用車に長期間取り付けられるように小型化されており,この装置を用いることにより長期間連続的に運転挙動を計測することが可能になった. 2.1の運転挙動測定装置を被験者の車輌に搭載し,連続的に運転挙動を計測した結果,実験開始直後は被験者が実験を意識するため模範的な運転をおこない,普段どおりの運転挙動が計測できないことが明らかになった.このことは,従来まで行われてきた実験専用車輌を用いた短期的な運転挙動計測の問題点を明らかにしており,被験者が実験を意識しなくなるまで連続的に運転挙動を計測する必要性を示すものである. 3.運転挙動測定装置を用いて,運転行動を連続的に測定する実験を行った.その結果,運転時間帯や周囲の交通量によって,運転者の進行方向空間保持特性が変化することが明らかになった.また,多くの運転者は,短い進行方向空間距離で走行しており,衝突の可能性が高い状態が多く見られた. 4.衝突確率という新しい運転評価指標を開発し,それを用いた評価システム(実時間運転評価システム)を開発した.このシステムをドライビングシミュレータ上に組み込み,運転者に実時間で衝突の可能性を教示した.その結果,運転者の保持する車間距離の大きさに改善が見られた.このことにより,本システムが,運転者に適正な車間距離を教示するのに有効な手法であることが明らかになった.
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