研究概要 |
瞬間提示された視覚刺激の知覚的位置の誤りに関する研究を行うにあたり、初年度である平成16年度は、迅速な研究のスタートと実際の実験データの蓄積を目的とした。研究成果としては、「誤定位の非対称性の座標系問題」に関しては、誤定位の非対称性が「物体中心座標」系で起きていることを明らかにするとともに、「視覚的注意」が誤定量に影響を及ぼす事も新たに発見した。この成果は、すでに本年度8月の国際学会(European Conference on Visual Perception,ハンガリー/ブタペスト),での発表を行い、また国際誌に投稿しアクセプトされた。さらに本年度は、フラッシュ刺激を二次元的に設定することで位置知覚の空間的なずれを調べた。その結果、運動刺激のやや後方に向かって知覚位置がずれるという非対称性が得られた。また二つのフラッシュ刺激を直線で結んだ条件では、知覚位置は同様にずれるものの刺激の長さは運動刺激と重なる条件以外ではほとんど変化しなかったことから、視空間そのものの歪みと知覚物体の位置表象の歪みの双方が生じていることが示唆された。この成果は、本年度の日本基礎心理学会で発表され、また来年度(平成17年度)の5月の国際学会(Vision Science Society、アメリカ合衆国フロリダ)で発表予定であり、また国際雑誌への投稿も準備中である。
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