研究概要 |
本研究は、今年度から3年間にわたり、近年の教育改革における主要な協議事項の一つである「アカウンタビリティ」について、教育委員会や学校管理職、教員がこれをどのように意識しながら実際の教育行政活動、学校運営活動、教育活動を行っているのかについて、質的調査方法を活用してデータを収集し、分析することを目的としている。このような研究目的に基づき、本年度は以下の通りに研究を進めた。 1.アカウンタビリティに関する概念枠組みと分析視点の設定 まず、国内外でこれまで議論されてきた「アカウンタビリティ」の概念定義や構成要素、アカウンタビリティを高めていく実際の手法に関する先行研究を徹底的に精査し、その概念枠組みと分析の視点を構築した。そこでは、アカウンタビリティを考える際には、次の6W1Hが重要であるということが見出された。即ち、who holds(誰がアカウンタビリティを負うのか),to whom(誰に対して負うのか),for what(何に関して負うのか),what level(どのレベルのアカウンタビリティを負うのか),what consequences(アカウンタビリティを果たせた、あるいは果たせなかった場合、どのような結果が生じるのか),when(アカウンタビリティはいつ果たされるのか),how(どのようにしてアカウンタビリティを果たすのか)である。 2.質的調査方法によるデータ収集 アカウンタビリティに関する概念枠組みと分析の視点を確定した後に、実際に教育委員会職員や学校管理職、教員を対象にインタビュー調査及び関連活動の観察調査を行った。具体的には、教育委員会の高等学校アカウンタビリティ向上政策担当職員1名、公立高等学校3校に関して、各校において校長、教務主任、教員2名の計4名、合計で1県につき13名へのインタビューを2県で行った。つまり、今年度は合計で26名に対してインタビュー調査を実施した。併せて、インターネットや各教育委員会及び各校を訪問した際に関連する文書も収集した。
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