1.資料調査の進捗状況 北海道・宮城県・山形県・東京都・神奈川県の図書館・文書館で実施し、当該地まで出向かなければ閲覧できない資料を中心に大きな収穫を得た。本研究の対象は正規の(したがって文部省所管の)教育制度ではなく、また現存する教育機関でもない。それゆえ調査の対象は各都道府県の教育史に関する資料のほか、「鉄道公報」をはじめとする鉄道省の発行物、一般の新聞・雑誌、受験生を対象とする受験案内書といった全国各地に散逸している。それでも「鉄道公報」および受験雑誌『鉄道青年』をほぼ全巻閲覧することができたのは特筆に値する成果といえる。 2.資料分析の進捗状況 受験雑誌『鉄道青年』の資料整理を終え、書誌的分析を行った。また、同誌のほか、収集したさまざまな資料をもとにして、全国5ヶ所(のち7ヶ所)に設置されていた鉄道教習所の沿革史を整備した。現在は日本国有鉄道の正史『日本国有鉄道百年史』(全19巻)の精読を行い、沿革史とつき合わせることにより、その時期ごとの鉄道教習所における教育制度がどのような意味を持ったのか明らかにする作業を実施中である。 3.学会発表の状況 日本教育学会第63回大会(於北海学園大学)において、受験雑誌『鉄道青年』の書誌的分析に関する発表を行った。 4.その他 本事業に着手する以前に、その予備的考察として行った鉄道教育制度に関する論文が、吉田文・広田照幸編『職業と選抜の歴史社会学-国鉄と社会諸階層-』(世織書房、2004年)に2本掲載された。
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