調査研究の第一年度にあたる本年は、研究の基盤となる基礎資料の収集と整理に専ら力を注いだ。具体的には、以下の三つの作業課題に取り組んだ。 (1)1910年代から1920年代にかけての沖縄における初等学校段階での教育実践がどのようなものであったのかを検証する上で不可欠の資料となる、沖縄(県)教育会の機関誌『沖縄教育』の所蔵機関を悉皆調査し、その目次集成の一部を作成した。 (2)次年度以降の作業として想定している、沖縄県内の各学校の記念誌について、その収蔵状況等、予備的な調査を進めた。 (3)自由教育運動史を検証する上で、踏まえなければならない、複数の分野にわたる先行研究についての読解作業を上記に並行して進めた。 これらの作業課題に取り組んだ結果、(1)については、三割程度の作業行程を終え、次年度に向けての基礎を形成することができた。次年度の前半期までにはこの基礎作業を終える予定である。(2)については、次年度に予定している悉皆調査のための基礎を形成することができた。次年度前半期中には、未調査の所蔵機関での調査を終える予定である。(3)については、政治史、経済史を中心とした先行研究の到達地点を見定める上での基礎を形成することができた。 これらは、いずれも研究成果を公表するための準備行程である。本年度はこの準備行程に意を払ったため、研究成果の公開は控えた。一定の研究成果を公表できる目処が立ち次第、次年度の早い段階での研究成果の公表を想定したい。
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