本年度は、前年度行なった質問紙調査の分析を行なった。主に、徳島県の高校のデータを中心に分析し、個人が組織に対してもつ認識のあり方や組織との同一化のあり方について、高校生の現状を明らかにした。量的調査の結果から、一般的な傾向として高校生の学校に対する肯定的な認識には教科の授業以外の特別活動や学校行事、部活動といったものが強く関連していることが明らかとなった。また、いずれの要素においても、学外との比較の視点を含んでおり、高校生が自ら通う学校以外の学校と比較することにより、学校組織を評価しているということも明らかとなった。 さらに、自由記述の分析結果からも、自ら通う学校の特性を学校行事や部活動といった授業以外の活動によって認識していることが明らかとなった。なお、自由記述の分析にあたっては、従来教育学研究ではあまり用いられてこなかったテキスト・マイニングという分析手法を用いた。テキスト・マイニングはマーケティングなどにおいて用いられる分析手法であるが、文章を数量的に分析することができるものである。新たな分析手法に取り組むことにより、量的研究の不十分さを補うことができたと考える。 こうした調査結果を、日本学校教育学会第20回研究大会においては「高校生の高校に対するイメージ-徳島県の高校生への調査をもとに-」として、中国四国教育学会第57回大会においては「高校生の組織アイデンティティの認識」として口頭発表した。
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