本研究の一年目である今年度は、教育開発援助におけるドナー間調整の現状についてバングラデシュを事例として実証的に分析することを目的として、以下の調査・研究を実施した。(1)EFA行動計画を中心としてバングラデシュにおける教育開発政策の作成過程と実施状況に関する現地調査を実施した。その際、教育省、国際機関(UNICEF、UNESCOを中心に)・ドナー機関(JICAを中心に)の現地事務所における資料収集や聞き取り調査を幅広く行った。この調査を通して得た情報は、2005年2月に開かれた日本教育学会関西ブロックの公開シンポジウムにおいて報告した。(2)基礎教育分野における援助協調の国際的な潮流に関する調査を行うため、国連教育科学文化機関(UNESCO)本部において資料収集や聞き取り調査を実施した。この調査の結果は、名古屋大学大学院国際開発研究科のディスカッション・ペーパーとしてまとめ、2005年3月に刊行した。(3)これらの現地調査と共に、国内においては教育開発援助関係の資料収集ならびに国内の関係者への聞き取り調査を行った。この調査結果は、日本国際文化学会の学会誌(近刊)において発表する予定である。これらの研究活動と並行して、教育開発に関する理論的な体系化を行うために複数の研究者たちと共同で「国際教育開発論」の教科書を著し、2005年4月に刊行する予定である。研究代表者は、同書の第1章(「教育学からのアプローチ」)を分担執筆している。
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